1.どのような外国人が取得できるか
就労ビザ(在留資格)は、外国人が日本の企業に就職することを条件として取得することができるビザです。
したがって、外国の方が就労ビザの取得を希望する場合、まず、日本の企業に就職する必要があります。
企業で外国人の採用が決まってもすぐに働けるわけではありません。
企業が準備する書類と外国人が準備する書類を合わせて入国管理局(入管)に申請し、ビザが下りてはじめて日本で働くことができるのです。
☆そのため、雇用契約書の雇用期間欄には「〇月〇日から(在留資格取得を停止条件とする)」といった文言を添えるのが一般的です。
企業が外国人を採用しようとする場合、就かせたい仕事内容とその外国人の大学や専門学校の専攻が一致しているかどうかを見ることとなります。
就労ビザの場合、職務内容に応じてビザの種類(「技術・人文知識・国際業務」「技術」など)を選択することとなりますが、職務内容と外国人の専攻が一致していないとビザが不許可となってしまいます。
例えば、IT企業が外国人にプログラミングの業務をさせようと思った場合、外国人がコンピュータ学科の卒業であれば問題ないと判断できるわけです。
しかし、実際100%大学の専攻と業務内容がかぶっているというのは難しいわけで、例えばIT企業を志望する外国人の専攻が数学であるということもあり得るわけです。
ただ、こういった場合であっても、プログラミングに数学の知識が必要不可欠であることがきちんと説明できればビザが許可されることもあります(実際、当事務所では数学や生物専攻の学生がIT企業の就労ビザを取得しています)。
また、専攻は無関係のものであっても一定の業務経験(職務内容により3年または10年)や資格がある場合には外国人の経歴として使える場合もあります。
特にIT企業の場合には、情報処理技術者資格(外国における同様の資格も含む)を取得することでビザを取得するという方法もあります。
ただ、このような場合、いかに職務内容との関連性を説明するかが重要となってきます。
ご自身で申請する際に、この説明をうまくできずに不許可となってしまうケースもあります(一度不許可になった場合でも理由書をつけて再度申請することで許可となることも多々あります)。
2.契約条件
専攻などの就労条件を満たし、会社が外国人を採用しようとする場合、どのような条件で採用するべきでしょうか。
一般的なのは正社員として雇用することですが、アルバイトや派遣といった雇用形態でもかまいませんし、フリーランサー契約(請負契約)でも問題ありません。よく「正社員でないとビザ申請にあたって不利になるのではないか」といった質問を受けますが、非正規雇用であってもその他の条件がしっかり満たされていればそれをマイナス評価するということはないようです(実際、中小企業のフリーランサーやアルバイトでも3年・5年といったビザが下りた例があります)。
なお、ビザを申請する際には会社との間で雇用契約(あるいは請負契約)がすでに締結されている必要があります。
ビザが下りてから雇用契約等を結ぶのではないので間違えないようにしてください。
給与は日本人と同等の水準であることが必要です。
また、外国人が十分に生活できる水準である必要がありますので、月収は20万円程度を下回らないようにします。
3.その他
そのほか、会社の経営状況なども審査の対象となります。入管が審査するのは「この外国人が日本でちゃんとした生活ができるか」ということです。
外国人を雇用しておきながら給与が支払わなかったり倒産してしまっては、外国人の日本での生活が成り立たなくなっておりますしまいます。
よく「うちは設立して間もない会社で実績がない」といった質問を受けますが、会社規模が小さくても赤字であっても、事業計画書でもってしっかりした青写真を描けているのであれば問題ありません。
中小企業は不利ではないかという質問も受けますが、大企業に比べ会社の経営状態を証明するための書類が増えるだけのことで、しっかりとした経営をしている会社であれば不利になることはありません。
企業は外国人の素行にも気を遣う必要があります。前科がある場合には原則ビザは下りません。
また、採用後においても外国人の在留資格の有無は常に把握している必要があります。
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